『探偵はもう、死んでいる』2巻ネタバレ解説
振り返る、シエスタとの日々
2巻は突然誘拐された君彦、アリシア、斎川唯(さいかわゆい)、シャーロットが混乱するところから始まります。監禁され、うす暗い部屋の中にあるのは謎のテレビのみ。画面が切り替わり、そこに映ったのはなんとシエスタでした。
彼女は生前、このビデオを用意していたと言うのです。そして、彼女がカメレオンに殺されたわけではないこと、君彦が何か重要な事柄を忘れてしまっていることを告げます。君彦が記憶をなくしてしまっているのは、記憶を改ざんされているためでした。
そこからは、シエスタと君彦の3年間の記録が映され「探偵がまだ死んでいなかった日々」を中心に語られていきます。
記憶喪失の少女・アリシアの登場
シエスタとロンドンに移り住み、リンゴを買いに行った君彦の目に入ったのは段ボールで寝ていた少女・「アリシア」でした。話を聞くと彼女に記憶はなく、行くあてもないと言います。負傷しているシエスタの代わりに探偵となって、しばらく共同生活を送ることになりました。
「探偵代行」との無邪気で平和な日々。しかしこのタイミングで、刑事・風靡から「死んだはずのジャック・ザ・リッパーが現れた」と告げられるのです。不自然すぎるタイミングに、君彦もシエスタも薄々何かを感じ始めます。そしてとうとう、その日がやってくるのです。
「死にたく、なかったな」
SPESの最高幹部・ヘルと殺人鬼ジャック・ザ・リッパー、記憶喪失の少女・アリシアは同一人物だったことが判明します。シエスタは、アリシアの中から“ヘルだけ”を消滅させる方法を探っていくうち、まさかの結論を出しました。それは“自分が死ぬこと”。
シエスタの心臓をアリシアに侵入させ、ヘルを抑え込む方法を選んだのです。アリシアの利益を守りながら、君彦と交わした「身をていして守ってあげる」という約束を守ったシエスタはひん死の状態に陥ります。
しかし彼女は、確かに最後の最後まで「探偵」であり続けたのでした。その後間もなくして「死にたく、なかったな」と言いながら死亡してしまいます。